CakePHP3 で intl ICU がエラー。問題箇所はCORE/src/Utility/Text.php

カテゴリー：CakePHP3

記事作成日：2017-05-08

CakePHP3.4.6で以下のメッセージが出る場合、

Warning (2): transliterator_transliterate(): Could not create transliterator with ID "Any-Latin; Latin-ASCII; [\u0080-\u7fff] remove" (transliterator_create: unable to open ICU transliterator with id "Any-Latin; Latin-ASCII; [\u0080-\u7fff] remove": U_INVALID_ID) [CORE/src/Utility/Text.php, line 1070]

検索して見つかるのは intl拡張ライブラリが古い、ICUが古いなどの情報で、素直にバージョンアップできるならばそれに越したことは無い。
しかし、バージョンアップすることが出来ない状況下においては、以下の方法で**暫定的**に回避可能なので記しておく。

## そもそもCORE/src/Utility/Text.phpのtransliterator_transliterate()は何を行っているのか

CakePHP2ではこの様な問題は発生しなかったので、transliterator_transliterate()とは何をやっているのか調べてみた。
この関数の詳細はphpの公式サイトを見ていただくとして、以下の動作確認を行った。

```php
$_defaultTransliteratorId = 'Any-Latin; Latin-ASCII; [\u0080-\u7fff] remove';

$str = transliterator_transliterate($_defaultTransliteratorId, 'abc123ABC');
var_dump($str);	//string(9) "abc123ABC"

$str = transliterator_transliterate($_defaultTransliteratorId, 'hello world. 123@%&');
var_dump($str);	//string(19) "hello world. 123@%&"
```

出力は何も変化なし。つまり、transliterator_transliterate()を通さなくても結果は同じ。

もう一つテスト。

```php
$str = transliterator_transliterate($_defaultTransliteratorId, 'あいうえお');
var_dump($str);	//string(5) "aiueo"

$str = transliterator_transliterate($_defaultTransliteratorId, '赤青黄色');
var_dump($str);	//string(17) "chi qing huang se"

$str = transliterator_transliterate($_defaultTransliteratorId, ' 345 abc こんにちは ');
var_dump($str);	//string(21) " 345 abc kon'nichiha "
```

phpのサイトに書かれている通り「文字列を音訳する」の処理が行われているようだ。特に前後のスペースを取り除くなどの処理は行われていない。

## transliterator_transliterate()はいつ呼ばれるのか

CORE/src/Utility/Text.php にテストコードを仕込んで動作させたところ、

```php
print $this->Form->control('username');
print $this->Form->text('Categories.subject');
```

などの部分、つまりTemplateのinputタグで、それ以外には確認出来なかった。
つまり、これらの箇所に表示可能な7bit文字以外を使用した場合にも正常に動作させるための機能らしい。
疑問点は、この部分に日本語などを使うケースが有るか？ それは無い。

ということで、transliterator_transliterate() は通さなくてもいいのではないかと言う結論に達した。

## CORE/src/Utility/Text.php の書き換え

お勧めする方法ではないが、これでも回避できるという一例である。
CORE/src/Utility/Text.php 1070行目あたり。

```php
//return transliterator_transliterate($transliteratorId, $string);
return $string;
```

オリジナルのコード1行をコメントアウトして、$string をそのまま返す。これでも動作には問題無さそう。

## テスト環境ではtransliterator_transliterate()を通す

ローカル環境でオリジナルコードが動作して、本環境で動作しない場合は上記を以下の通り書き換え。

```php
if (strcmp(env('HTTP_HOST'),'localhost') == 0) {
	if (strcmp(transliterator_transliterate($transliteratorId, $string),$string) != 0) {
		var_dump($string);
		var_dump(transliterator_transliterate($transliteratorId,$string));
	}
	return transliterator_transliterate($transliteratorId, $string);
} else {
	return $string;
}
```

これで、テスト中にtransliterator_transliterate()を通さないことによる値の違いが有れば画面に表示されるので問題を発見できる。
ログに書き込んでログをチェックした方が確実ではある。

実際にこの方法で実稼働させていて問題は生じていない。

## composerでのアップデートに注意

composerでCakePHP3をアップデートするとコアのコードはそっくり入れ替わってしまうので、バックアップは持ちつつ、アップデートには注意しよう。

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